東京都健康安全研究センター
先天性風しん症候群 Congenital Rubella Syndrome (CRS)

更新日:2019年11月8日 

 

1 先天性風しん症候群(CRS)とは

 先天性風しん症候群(CRS)とは、母親が妊娠中に風しんウイルスに感染することによって生じる胎児の病気です。風しんウイルスが、胎盤を介して胎児に感染することにより、胎児に先天性の障害を起こします。

 定期予防接種導入後、国内での先天性風しん症候群はほとんどみられなくなっていました。しかし、2012~2013年に、全国で風しんの大規模発生が見られ、この流行に伴い、2013~2014年に都内では16人の先天性風しん症候群の患者が発生しました。

2 原因と感染経路

 病源体は、風しんウイルス(rubella virus)です。
 風しんに対する免疫のない妊婦が風しんウイルスに感染すると、胎盤を通じて胎児に感染します(経胎盤感染)。

 先天性風しん症候群の多くは、妊娠初期に母親が風しんウイルスに感染することによって起こり、母親に症状がみられない不顕性感染の場合でも、先天性風しん症候群を起こす可能性があります。

3 症状

 頻度が高い症状は、難聴、白内障、先天性心疾患です。その他、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球などがあります。

4 治療

 症状に応じた治療が行われます。

 難聴については人工内耳が開発され、乳幼児にも適応されつつあります。白内障については可能になった時点で手術を行い、視力の回復を目指します。心疾患は軽度であれば自然に治ることもありますが、手術が必要になる場合もあります。

5 予防のポイント

 妊婦のパートナーや職場の同僚、同居の乳幼児や学童から妊婦への感染に注意が必要です。 

 妊娠する可能性のある女性とそのパートナーは、妊娠前に予防接種を受けておくことが大切です。女性の場合、予防接種を受ける場合は、胎児への感染を防止するため、妊娠していないことを確かめたうえで、予防接種を受け、接種後2か月間は避妊が必要です。

6 診断・感染症法との関連

 診断は、患児の臨床症状と、検査(病源体の検出あるいは抗体検査)によります。

 感染症法では、五類感染症(全数把握疾患)に定められており、診断した医師は7日以内に最寄の保健所に届け出ることが定められています。

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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