アメーバ赤痢 Amebiasis
更新日:2015年3月23日
1 アメーバ赤痢(Amebiasis)とは
アメーバ赤痢は、寄生虫の一種である赤痢アメーバ原虫による感染症です。
途上国からの帰国者によくみられる感染症ですが、国内では男性同性愛者間での感染も多く報告されています。
2 原因と感染経路
病源体は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)原虫で、消化管に寄生し糞便中に排出されます。
赤痢アメーバの成熟嚢子(直径10~15μm)に汚染された飲食物を経口摂取することや、性的接触により感染します。
3 症状
潜伏期間は通常2~4週間ですが、数日から数年のこともあります。
下痢、粘血便、しぶり腹、排便時の下腹部痛や不快感などの症状を起こし、多くの例で、数日~数週間の間隔で悪くなったりよくなったりします。感染しても症状がみられない人もいます。
赤痢アメーバは、血流にのって腸以外の臓器に侵入することがあり、肝膿瘍が高頻度に見られます。この場合、38~40℃の熱、右のわき腹の痛み、肝臓のはれ、吐き気、嘔吐、体重減少、寝汗、全身のだるさなどが起きます。
4 治療
抗原虫薬による治療を行います。
5 予防のポイント
予防接種はありません。
トイレの後や、調理・食事の前には、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
流行している地域では、生水、氷、生野菜、カットフルーツなどの食品を喫食しないようにしましょう。
6 診断・感染症法との関連
診断は、病原体の検出あるいは抗体検査などによります。
感染症法では、五類感染症(全数把握対象)に定められており、診断した医師は、無症状病原体保有者は除き、7日以内に最寄の保健所へ届け出ることが義務付けられています。