東京都健康安全研究センター
チクングニア熱 Chikungunya fever

更新日:2016年5月20日

 

1 チクングニア熱とは

 チクングニア熱は、チクングニアウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)に刺されることによって生じる感染症です。病名は、「激しい痛みのために体を折り曲げて歩く様子」を意味するアフリカの言葉から来ています。 

 

2 原因と感染経路

 病源体は、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)です。
 チクングニアウイルスを持っている蚊に刺されることによって感染が成立します。ヒトからヒトに直接感染することはありません。これまで国内感染例はありませんが、チクングニアウイルスを媒介する蚊のうち、ヒトスジシマカは日本にも生息するため、注意が必要です。

 

3 症状 

 典型的には、蚊に刺されてから3~12日(多くは3~7日)の潜伏期の後、発熱、発しん、関節痛がみられます。急性症状が軽快した後も、数週間~数年にわたってリウマチに似た関節痛や腫脹、圧痛が続くことがあります。

 

4 治療

 症状に応じた対症療法が行われます。痛みと発熱に対しては、アセトアミノフェンを使用します。アスピリン等のサリチル酸系の解熱・鎮痛剤の使用は、出血傾向増悪の可能性があるので控えて下さい。

 

5 予防のポイント

 予防接種はありません。チクングニア熱の流行する地域に渡航する際は、蚊に刺されない工夫をする必要があります。

蚊の繁殖や虫刺されを防ぐ工夫

  • 蚊の繁殖を防ぐため、雨水タンクに蓋をしたり、タイヤに溜まった水・ペット用の水・鉢植えの皿の水を放置しない。
  • 室内の花瓶の水などは最低週1回は交換する。
  • 戸外に出るときは肌の露出をできるだけ避ける。
  • 虫よけ剤を適切に使用する。
  • 蚊が室内に入らないよう戸や窓の開け閉めを減らし網戸やエアコンを使用する。
  • 渡航の際は設備が整った(網戸の設置や必要な清掃が行われている等)宿泊施設を利用する。

チクングニアウイルスを媒介する蚊

チクングニア熱の感染リスクのある地域

 かつては、アジア、アフリカの熱帯・亜熱帯が流行地域でした。しかし最近は、中南米の各地に流行地が広がり、今も拡大を続けています。

 マラリアと異なり、都市部でも感染の可能性があります。

チクングニア熱の感染リスクのある地域(厚生労働省検疫所 FORTH)

東京都における感染症媒介蚊サーベイランス

 東京都健康安全研究センターではチクングニア熱、デング熱、マラリア、ウエストナイル熱を媒介する蚊について種類の同定およびウイルス等の保有の有無を調査するため、都内の公園等でトラップを用いた蚊の成虫に対するサーベイランス(調査監視)を実施しています。

感染症媒介蚊サーベイランス

 

6 診断・感染症法との関連

 診断は、病源体の検出あるいは抗体検査などによります。

 感染症法では、四類感染症として定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。

  

7 さらに詳しい情報が必要な方は

本ホームページに関わる著作権は東京都健康安全研究センターに帰属します ご利用にあたって
© 2024 Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All rights reserved.