更新日:2017年3月21日
1 クロイツフェルト・ヤコブ病とは
クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease : CJD)は、脳に異常なプリオン蛋白が沈着し脳神経細胞の機能が障害されるプリオン病の一種です。発生原因により孤発性プリオン病、遺伝性プリオン病、医原性の感染性プリオン病、変異型の感染性プリオン病があります。年間発生率は人口100万人あたり1例程度で、世界中で発生があり、我が国でも毎年100例から200例の発生があります。
我が国で発生があるのは孤発性プリオン病が多く、次いで遺伝性プリオン病、稀に医原性やその疑いのものもあります。変異型は、変異型の発生が多く報告されていた英国への渡航歴があった1例(2005年2月報告)のみです。
2 原因と感染経路
病原体は、核酸を持たない感染性を有する異常プリオン蛋白です。
孤発性プリオン病は発生原因が不明とされています。
遺伝性プリオン病は、異常プリオン蛋白発生遺伝子の変異が特定されており、それが原因で発生するものです。
感染による感染性プリオン病は、医原性と変異型があります。
医原性は医療行為によりヒトからヒトへ感染するもので、ヒト由来の乾燥硬膜や角膜の移植手術、ヒト下垂体由来の成長ホルモンやタンパク質ホルモンの使用により感染します。
変異型は、牛の海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy : BSE)との関係が指摘されており、BSEの牛の脳、脊髄など異常プリオン蛋白が蓄積されやすい特定危険部位を食べることにより感染する可能性があるとされています。
3 症状
孤発性プリオン病・遺伝性プリオン病・医原性の感染性プリオン病
孤発性プリオン病や遺伝性プリオン病の平均発症年齢は68歳です。
主な症状は、認知症が進むこと、突発的に速い不随意運動をくり返すようになる(ミオクローヌス)ことです。発病より数か月で認知症、妄想、行動障害が急速に進行し起立歩行ができなくなり、3~7か月で自発的な運動や意味のある発語がみられなくなった状態になります。1~2年で全身衰弱、呼吸麻痺、肺炎などで死亡します。
変異型の感染性プリオン病
発症者は20歳代が多く、主な症状は、行動異常、感覚障害、ミオクローヌスです。1年で自発的な運動や意味のある発語がみられなくなった状態になり、全身衰弱、呼吸麻痺、肺炎などで死亡します。
4 治療
特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
5 予防のポイント
予防接種はありません。
日常生活に特別な注意は必要ありません。
6 診断・感染症法との関連
診断は、特有の症状、病原体の検出によります。
感染症法では、五類感染症(全数把握対象)に定められており、診断した医師は7日以内に最寄の保健所に届け出ることが義務づけられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関するQ&A(厚生労働省)
- クロイツフェルト・ヤコブ病(国立感染症研究所)
- プリオン病(1)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)(指定難病23)(難病情報センター)
- Classic Creutzfeldt-Jakob Disease(CDC)
- About Variant Creutzfeldt-Jakob Disease (vCJD)(CDC)