クリプトスポリジウム症 Cryptosporidiosis
更新日:2019年7月31日
1 クリプトスポリジウム症とは
クリプトスポリジウム症は、寄生虫の一種であるクリプトスポリジウムによる感染症です。
衛生環境の整備されていない途上国を中心に世界に広く分布しています。塩素消毒が十分に効かないため、先進国においても水道水を介しての集団感染が生じ問題となることがあります。
2 原因と感染経路
病源体は、クリプトスポリジウム属原虫(Cryptosporidium)で、消化管に寄生し、糞便中に排出されます。
感染経路は下記のようなものがあります。
水→ヒト(放牧場、畜舎周囲、有機肥料による農地などの環境汚染)
家畜→ヒト(直接接触感染および飲料水、食品汚染による経口感染)
ヒト→ヒト(糞便の経口感染)
3 症状
潜伏期は4~10日程度と考えられ、無症状のものから、食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢などを呈するものまで様々です。免疫不全状態にある人は、重症化する場合があります。
4 治療
特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。通常は1~2週間程度で自然治癒します。
5 予防のポイント
予防接種はありません。
トイレの後や、調理・食事の前には、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
動物に接した後も、手洗いを心がけましょう。
6 診断・感染症法との関連
診断は、病源体の検出あるいは抗原検査によります。
感染症法では、五類感染症(全数把握対象)に定められており、診断した医師は7日以内に最寄の保健所へ届け出ることが義務付けられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- クリプトスポリジウム症とは(国立感染症研究所)
- クリプトスポリジウム等対策について(厚生労働省)
- クリプトスポリジウム症と都内で発生したクリプトスポリジウム集団感染例(東京都健康安全研究センター)
- クリプトスポリジウムによる集団感染(愛知県衛生研究所)