更新日:2020年5月26日
1 デング熱とは
デング熱は、デングウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)に刺されることによって生じる感染症です。
デングウイルスを媒介する蚊が生息する地域は、熱帯・亜熱帯を中心に100か国以上あり、全世界で年間約1億人の患者が発生しているとも言われています。日本でも2014年に約70年ぶりの国内感染が報告され、国内でも注意が必要です。
2 原因と感染経路
病原体は、デングウイルス(Dengue virus)です。
デングウイルスには、4つの血清型(1・2・3・4型)があります。同じ型のウイルスに再び感染しても免疫によって軽症ですみますが、異なる型に感染すると免疫が過剰に働き重症化することがあります。
デングウイルスを持っている蚊に刺されることによって感染が成立します。日本では、ネッタイシマカの生息は確認されておらず、国内感染は、ヒトスジシマカによる媒介によって生じます。ヒトからヒトに直接感染することはありません。
3 症状
典型的には、蚊に刺されてから2日〜15日(多くは3〜7日)の潜伏期間の後、高熱(38〜40℃)・頭痛・眼窩痛・関節痛・筋肉痛・発しんなどを呈します。症状は1週間ほどで回復します。
ごく稀に重症化して、出血症状やショック症状を呈するデング出血熱を起こすことがあります。
4 治療
特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。痛みと発熱に対しては、アセトアミノフェンを使用します。アスピリン等のサリチル酸系の解熱・鎮痛剤の使用は、出血傾向が悪化する可能性があるので控えてください。
5 予防のポイント
予防接種はありません。デング熱の流行地域に渡航する際は、蚊に刺されない工夫をする必要があります。
蚊の繁殖や虫刺されを防ぐ工夫
- 蚊の繁殖を防ぐため、雨水タンクに蓋をしたり、タイヤに溜まった水・ペット用の水・鉢植えの皿の水を放置しない。
- 室内の花瓶の水などは最低週1回は交換する。
- 戸外に出るときは肌の露出をできるだけ避ける。
- 虫よけ剤を適切に使用する。
- 蚊が室内に入らないよう戸や窓の開け閉めを減らし網戸やエアコンを使用する。
- 渡航の際は設備が整った(網戸の設置や必要な清掃が行われている等)宿泊施設を利用する。
デングウイルスを媒介する蚊
- ヒトスジシマカの写真(国立感染症研究所)
- ネッタイシマカの写真(国立環境研究所)
デング熱の感染リスクのある地域
感染リスクのある地域は、アフリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域、西太平洋地域の熱帯・亜熱帯地域などの広い地域に拡大しています。
マラリアと異なり、都市部でも感染の可能性があります。
- デング熱の感染リスクのある地域(厚生労働省検疫所 FORTH)
東京都における感染症媒介蚊サーベイランス
東京都健康安全研究センターではデング熱、マラリア、チクングニア熱、ウエストナイル熱等を媒介する蚊について種類の同定およびウイルス等の保有の有無を調査するため、都内の公園等でトラップを用いた蚊の成虫に対するサーベイランス(調査監視)を実施しています。
6 診断・感染症法との関連
診断は、病源体の検出あるいは抗体検査などによります。
感染症法では、四類感染症として定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。
- 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(国立感染症研究所)
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- デング熱について(東京都保健医療局感染症対策部)
- 感染症媒介蚊対策について(東京都保健医療局環境保健衛生課)
- デング熱について(厚生労働省)
- デング熱とは(国立感染症研究所)
- デング熱(厚生労働省検疫所 FORTH)
- 新着情報 デング熱(厚生労働省検疫所 FORTH)
- 東南アジア地域 デング熱流行状況(WHO)
- Dengue(CDC)