更新日:2017年4月5日
1 エキノコックス症とは
エキノコックス症とは、寄生虫であるエキノコックス属条虫の幼虫(包虫)に寄生されることによってかかる病気です。
主に北海道での感染例が報告されていますが、全国各地からも患者の報告があります。
2 病原体と感染経路
エキノコックスの虫卵を経口摂取することにより感染します。経口摂取された虫卵から孵化し、幼虫が肝臓などに寄生します。
人体内に寄生したエキノコックスが親虫になることはないため、ヒトからヒトへ感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはありません。
自然界では、野ネズミが虫卵を経口摂取するとヒトと同じようにエキノコックスの幼虫に寄生されますが、その寄生された野ネズミを食べたキツネの腸でエキノコックスは親虫になります。親虫は虫卵を産み、これが排泄物と共にキツネから排出され、その虫卵が野ネズミに経口摂取されることでエキノコックスは伝播します。他の野生動物や野ネズミを食べたイヌなども虫卵の発生源となることがあります。
3 症状
潜伏期は数年から10数年程度です。肝臓に寄生した包虫によって肝硬変が進んでいき、肝臓の肥大に伴う上腹部の膨満・不快感などの不定症状が現れ、その後、肝機能障害、腹部の膨満が進み、発熱、黄疸等の症状が出ます。脳に寄生した場合は、意識障害やけいれん発作などの症状が出ます。さらに進行すると、黄疸・腹水・浮腫等を合併し、全身状態が悪化して死に至ります。
4 治療
寄生虫を摘出する手術を行います。手術ができない場合などには、エキノコックスの成長を阻害し増殖を抑制する薬物による療法があります。
検査を受けて早期に発見し治療を始めることができれば治癒することが可能なため、感染するリスクがある場合には定期的な検査をうけることが重要です。
5 予防のポイント
感染しないようにするためには動物にむやみに近づかないことが大切です。また、虫卵に汚染されている可能性のある飲食物の摂取を避けることです。沢水などに虫卵が含まれていることがあるので煮沸してから飲みましょう。山菜や野山の果実などは60℃以上で最低30分加熱して食べるようにしましょう。
6 診断(検査)・感染症法との関連
診断は、病原体の検出あるいは抗体検査によります。
四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務づけられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- エキノコックス症(国立感染症研究所)
- エキノコックス症(厚生労働省検疫所 FORTH)
- エキノコックス症について(北海道 保健福祉部 感染症対策局 感染症対策課)
- エキノコックス症の知識と予防(北海道 保健福祉部 感染症対策局 感染症対策課)