更新日:2017年3月21日
1 急性脳炎とは
急性脳炎は様々な病原体による脳の炎症に起因する疾患の総称です。
感染症法では、「ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く」と脳炎を主な症状とする他の届出対象疾患を除いて定義されており、病原体が不明な場合も含まれています。また、「炎症所見が明らかではないが、同様の症状を呈する脳症もここには含まれる」と定義しています。
2 原因と感染経路
脳炎・脳症には、感染症、ワクチン接種、自己免疫疾患などが原因でおこるものがあります。
感染症による場合、病原体は多種多様で、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、風しんウイルス、水痘帯状疱しんウイルス、ヒトヘルペスウイルス6などのウイルス、マイコプラズマ、スピロヘータ、レプトスピラ、リケッチアなどの細菌、真菌、寄生虫(トリパノ ソーマ、旋毛虫など)によるものがあります。
病源体によって感染経路は異なります。
3 症状
病原体が脳に感染し炎症を起こすものと、病原体に感染後の免疫反応に伴い脳に炎症が起こるもの、炎症ではないが同様の症状の脳症によるものがあります。
様々な病原体によるため症状も多様ですが、多くは病原体による感染症の症状が先にあり、急性脳炎が始まると、高熱、意識障害やけいれんなどの症状が出ます。
4 治療
病原体により治療法は異なり、病原体に応じた適切な抗ウイルス薬、抗菌薬、抗寄生虫薬を用います。また、症状に応じた対症療法が行われます。
5 予防のポイント
病原体によってはワクチン接種による予防ができます。
様々な病原体によるため、それぞれの異なる感染経路に応じた対策ができます。
6 診断・感染症法との関連
診断は症状によります。感染症法で届出対象になるものは、意識障害を伴って死亡した者、又は意識障害を伴って24時間以上入院した者のうち、「38℃以上の高熱」「何らかの中枢神経症状」「先行感染症状」のいずれかの症状を伴った場合になります。
感染症法では、五類感染症(全数把握対象)に定められており、診断した医師は7日以内に最寄の保健所へ届け出ることが義務付けられています。