A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 Group A streptococcal pharyngitis
更新日:2018年11月22日
1 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは、A群レンサ球菌による上気道の感染症です。レンサ球菌は、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こします。日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎などがあります。
2 原因と感染経路
病原体は、A群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)です。
患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことによる「飛まつ感染」、あるいは、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」が主な感染経路です。
3 症状
典型的には、2〜5日の潜伏期間の後、突然38℃以上の発熱、咽頭発赤、苺状の舌などの症状が現れます。しばしばおう吐を伴います。熱は3〜5日以内に下がり、1週間以内に症状は改善します。
まれに重症化し、喉や舌、全身に発赤が拡がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行することがあります。合併症には肺炎、髄膜炎、敗血症、リウマチ熱、急性糸球体腎炎などがあります。
4 治療
抗菌剤による治療を行います。腎炎などの合併症を防ぐため、症状が改善しても主治医に指示された期間、薬を飲むことが大切です。
喉の痛みがひどい場合は柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけましょう。
5 予防のポイント
予防には、手洗い、咳エチケットが有効です。
咽頭痛がある場合は早めに医療機関等を受診し、検査を受けましょう。
6 検査・感染症法との関連
診断は、病原体や抗原の検出、抗体検査によります。
感染症法では、五類感染症(定点把握対象)として定められ、定点医療機関から毎週患者数が報告されています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは(国立感染症研究所)
- Group A Streptococcal (GAS) Disease(CDC)