更新日:2015年9月3日
1 侵襲性インフルエンザ菌感染症(invasive Haemophilus influenzae disease)とは
侵襲性インフルエンザ菌感染症は、インフルエンザ菌による侵襲性感染症(本来無菌環境である部位から起因菌が分離された感染症)のうち、この菌が髄液又は血液から検出された感染症のことをいいます。
2 病原体と感染経路
病原体はインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)です。インフルエンザ菌はヒトの上気道に常在する細菌で、呼吸器系をはじめとする各種感染症の原因菌です。毎年冬場に流行するインフルエンザの原因病原体とは異なります。
感染経路は、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌による感染(飛まつ感染)です。感染したとしても必ず発症するわけではありません。
3 症状
潜伏期間は不明です。発症は一般に突発的で、上気道炎や中耳炎を伴って発症することがあります。
髄膜炎例では、頭痛、発熱、首を動かしにくくなる硬直、けいれん、意識障害等の症状が起こります。
敗血症*例では、発熱、脱力、心拍数の増加、呼吸数の増加、白血球の増加などがみられ、急速に重症化することがあります。
*敗血症:血液中に細菌が侵入したことにより引き起こされる感染症によって全身性の反応が起こることをいいます。
4 治療
侵襲性インフルエンザ菌感染症の治療には、抗菌薬を使用します。
5 予防のポイント
有効な予防法は予防接種です。2013年4月の予防接種法の改正に伴い、Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチンは定期接種となりました。
日本の小児における予防接種スケジュール(国立感染症研究所)
6 診断・感染症法との関連
侵襲性インフルエンザ菌感染症は、髄液、血液を採取し、分離・同定による病原体の検出、又は、PCR法による病原体遺伝子の検出を行います。
2013年4月1日に感染症法施行規則が改正され、侵襲性インフルエンザ菌感染症は五類感染症(全数把握対象)として定められました。本感染症と診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。