東京都健康安全研究センター
ラッサ熱 Lassa fever

更新日:2025年8月28日

1 ラッサ熱とは

 ラッサ熱はラッサウイルスによる感染症です。流行地はナイジェリア、リベリア、シエラレオネ、ギニア、中央アフリカ共和国などの西アフリカ一帯です。日本では1987年の輸入例を除き発生例はありません。

2 原因と感染経路

 病原体はラッサウイルス(Lassa virus)です。自然界ではヤワゲネズミ(マストミス)というネズミの一種の体内にウイルスが存在します。このネズミを触ったり、糞や尿によって汚染された食品の摂取、食器の使用、塵や埃を吸いこむことによって感染します。

 また、ウイルスの含まれる患者の血液、唾液や排泄物に直接触れて、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる感染することもあります。

3 症状

 潜伏期間は1~3週間程度です。全身倦怠感、発熱、頭痛、咽頭炎症状、咳、嘔気・嘔吐、下痢、筋肉痛、胸背部痛、腹痛などを伴って発症します。重症例になると、顔の浮腫、胸水の貯留、粘膜からの出血、血圧低下が進行します。 ラッサウイルス感染者の約80%は、軽症か無症状であるとされますが、入院患者の致命率は15~30%と報告されています。

4 治療

 治療には抗ウイルス剤(リバビリン)を使用します。早期に治療を開始すると、致死率は減少します。

5 予防のポイント

 予防接種はありません。ヤワゲネズミが生息している西アフリカでは、ネズミに噛まれないように、ネズミの糞尿による汚染の可能性があるものを触らないようにしましょう。

6 診断・感染症法との関係

 病原体の検出、抗原の検出、遺伝子の検出、血清抗体の検出により診断します。

 感染症法では一類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届け出ることが義務付けられます。

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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