東京都健康安全研究センター
ライム病 Lyme disease

更新日:2017年10月13日

 

1 ライム病とは

 ライム病は、細菌の一種であるスピロヘータによる感染症です。ヨーロッパからアジアまでの温暖な森林地帯、北アメリカの北東部、北中央部、太平洋沿岸地域で多く見られますが、世界中で発生がみられます。我が国では年間数十件の患者の報告があり、都内でも患者の報告があります。

 

2 原因と感染経路

 病原体は、スピロヘータ科のライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi sensu lato)です。

 ライム病ボレリアを保有したマダニに咬まれることによって感染します。ヒトからヒトへうつることはありません。

 

3 症状

 潜伏期は3~32日間です。

 感染初期には、多くの場合、遊走性紅斑と呼ばれる特徴的な症状がでます。これは、マダニに咬まれた部位に赤色の丘疹が生じ環状に紅斑が広がっていくというものです。また、その際に、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身倦怠感などの症状を伴うことがあります。

 その後、病原体が全身に拡がるのに伴い、重度の頭痛や首筋の硬直、咬まれた部位以外の発疹、関節痛や関節の腫れ、筋肉痛、動悸や不整脈、めまいや息切れ、神経痛、手足のしびれや痛み、脳や脊髄の炎症、記憶障害など多彩な症状が現れます。

 感染から数か月ないし数年を経て重症化すると、皮膚症状や関節炎、脊髄脳炎などが悪化し死亡することがあります。

 また、治療が遅れると皮膚や関節などに後遺症が残ることがあります。

 

4 治療

 抗菌剤による治療を行います。治療が遅れると重症化や後遺症が残る場合があるので、早期発見・早期治療が重要です。

 

5 予防のポイント

 予防接種はありません。

 ダニの吸着を防ぐことが最も重要です。野山、河川敷など、やむを得ず立ち入る場合、肌の露出を避け、虫よけ剤を適宜使用します。地面に寝転んだり腰をおろすことは避けましょう。また、衣類にダニがついていることがあるので、帰宅後は、早めに着替え、屋内にダニを持ち込まないように注意しましょう。

 

6 診断・感染症法との関連

 診断は、病原体あるいは病原体の遺伝子の検出、抗体検査によります。 

 発症の数週間前に、流行地への旅行歴、もしくは野山や河川敷などでの活動歴があれば本症が疑われます。

 感染症法では、四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所へ届け出ることが義務づけられています。

 

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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