東京都健康安全研究センター
麻しんQ&A II ワクチン関連
Q1
ワクチンの効果は?
A

1回のワクチン接種により麻しんの免疫ができる割合(抗体陽転率)は約95%です。周囲で麻しんの流行があると、免疫のつかない約5%の方は発症する可能性があります。より確実に免疫をつけるために、2006年6月から麻しん・風しんの混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が開始されました。

血中抗体はワクチン接種後約2週間から出現しますが、麻しんの患者と接触して緊急に発症を予防したい場合、接触後72時間以内に予防接種を受けることで発症を防御できる可能性があります。ただし、100%ではないので、事前に予防接種を受けておくことが重要です。

参考文献:予防接種必携 平成28年度版P170

Q2
ワクチンの副反応は?
A

1回目の接種後2週間以内に発熱を認める人が約13%います。また、接種後1週間前後に発しんを認める人が数%います。その他に、じんましんが約3%、発熱に伴う痙攣が約0.3%に見られます。2回目の摂取では接種局所の反応がみられる場合がありますが、発熱、発しんの頻度は極めて低いのが現状です。稀な副反応として、脳炎・脳症が100万~150万人に1人以下の頻度で報告されていますが、ワクチンとの因果関係が明らかでない場合も含まれています。

Q3
麻しんの予防接種は、どうして2回必要なのですか?
A

理由は3つあります。①1回の接種で免疫がつかなかった子供たちに免疫を与えること、②1回の接種で免疫がついたにもかかわらず、その後の時間の経過とともにその免疫が減衰した人たちに再び刺激を与え、免疫を強固なものにすること、③1回目に接種しそびれた子供たちにもう一度、接種のチャンスを与えることです。

出典:国立感染症研究所 IDSC 2007/4/23 麻疹・風疹ワクチン なぜ2回接種なの?

Q4
乳児(1歳未満)に接種可能ですか?
A

1歳未満のワクチン接種は任意接種となります。

乳児への接種に際しては、家庭内や利用している施設内の麻しんの流行状況、患者との接触等を考慮の上、医師にご相談ください。

なお、1歳未満で接種した際には、残存する移行抗体(胎盤を通じて胎児に与えられた抗体)の影響でワクチンの効果が十分に発揮されないおそれがあるので、通常の定期接種のスケジュールでも接種を受ける必要があります。

Q5
卵アレルギーの子供に接種可能ですか?
A

麻しんワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されていますが、卵そのものを使っていないため、卵によるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応既往)のある方はその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時にかかりつけ医に相談してください。

※アナフィラキシーとは急性アレルギー反応の一つで、蕁麻しんや呼吸困難、意識障害などがみられます。接種後30分以内に起こることがほとんどです。

Q6
妊娠の可能性がある場合の注意点は?
A

一般に生ワクチンは、胎児への影響を考慮して、全妊娠期間で接種を行わないことになっています。妊婦が麻しんワクチンを接種することはできませんが、妊婦がいる家庭で、妊婦と同居する家族がワクチンを接種することは問題ありません。麻しんワクチンを受けた者からワクチンウイルスが他人に感染することはないことが確認されています。

参考文献:予防接種必携 平成28年度版P168

Q7
麻しんワクチンの再接種で副反応が強くなることはありませんか?
A

再接種の際に副反応が強くなるという報告はありません。初回接種時より、副反応の出る割合としてはむしろ低くなるという報告もあるようです。

Q8
過去に麻しんまたは風しんにかかったことがあっても、麻しん風しん混合(MR)ワクチンを接種して大丈夫ですか?
A

過去に麻しんまたは風しんにかかったことに間違いがなければ、成人になっても十分な抗体を保持していることが多いので、当該疾患の予防接種の必要はありません。ただし、他の疾患と思い違いしている場合もあります。特に風しんは思い違いの頻度が高いといわれています。過去に麻しんまたは風しんのいずれか一方に罹ったことのある人が、麻しん・風しんの混合ワクチン(MRワクチン)を接種することは差し支えありません。また、麻しん又は風しん単独ワクチンを受けることもできます。

Q9
麻しんにかかって免疫をつけた方が、ワクチン接種よりもよいのでは?
A

自然感染で麻しんを発症すると、重症化や合併症による後遺症のリスク、また死亡する可能性もあります。そして周りの人にそのようなリスクを与えることにもなります。麻しんに自然にかかった後の強い免疫というのは、そのような代償のあとに得られるものです。

一方、ワクチンを2回接種すれば約99%の人が抗体を保有することになり免疫を持続させることができます。ある程度の頻度で副反応があることは避けられませんが、症状の重さも重症になる割合も麻しんにかかった場合と比べて格段に低いものです。周りの人に麻しんを感染させるリスクもありません。

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