更新日:2023年6月15日
都民向け情報リーフレット(侵襲性髄膜炎菌感染症ってどんな病気?)
1 侵襲性髄膜炎菌感染症とは
侵襲性髄膜炎菌感染症は、髄膜炎菌による侵襲性感染症(本来無菌環境である髄液、血液などから起因菌が分離された感染症)のことをいいます。
温帯では寒い季節に、熱帯では乾期に流行します。アフリカには、髄膜炎ベルトと呼ばれるサハラ以南を中心にした流行地帯がある他、世界各地でも散発的な患者発生があります。乳幼児だけでなく、学生寮などで共同生活を送っている10代の若い人たちの間でも流行がみられるため注意が必要です。
2 原因と感染経路
病源体は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)です。
髄膜炎菌は、咳やくしゃみなどによってヒトからヒトに飛沫感染します。低頻度ながら、発症せず鼻咽頭などに保菌されることもあります。
3 症状
潜伏期間は2~10日(平均4日)で発症は突発的です。
本疾患の特徴として、出血斑が体幹や下肢に認められ、点状出血が眼球結膜、口腔粘膜や皮膚に出現することがあります。
全身症状としては、頭痛、発熱、乳児では大泉門膨隆等の症状を示します。重症化すると、意識障害、痙攣、ショックなどに進展することがあります。
4 治療
抗菌薬による治療を行います。重症化しないためには早期に治療を開始することが重要です。
5 予防のポイント
侵襲性髄膜炎菌感染症の予防には、ワクチン接種や抗菌薬の予防内服が有効です。
ハイリスクグループとして、若年層で寮生活をする人、免疫の低下した人、脾臓を摘出した人、慢性中耳炎・鼻炎・副鼻腔炎の患者、HIV感染者などが挙げられます。
髄膜炎菌ワクチンは多糖体ワクチンと結合型ワクチンが流通していますが、日本では結合型ワクチンが承認されています。
抗菌剤の予防内服は感染拡大防止措置として患者の接触者に勧奨されます。
6 診断・感染症法との関連
診断は、病原体あるいは病源体遺伝子の検出を行います。
感染症法では、五類感染症(全数把握対象)として定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所へ届け出ることが義務づけられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- <特集>侵襲性髄膜炎菌感染症 IASR Vol.34 No.12(No.406)(国立感染症研究所)