更新日:2026年2月3日
1 ニパウイルス感染症とは
ニパウイルスによる感染症です。マレーシア、バングラデシュ、インド、シンガポール、フィリピンで発生が見られ、特にバングラディッシュ、インドではほぼ毎年発生が報告されています。我が国での患者の報告はありません。
2 原因と感染経路
病原体は、パラミクソウイルス科へニパウイルス属に属する二パウイルスです。
主な感染経路は、感染動物(オオコウモリやブタ、馬など)との接触や、感染動物の体液で汚染された食物(ナツメヤシ等の樹液や果物)の摂取です。また、患者の血液や体液との接触によるヒト-ヒト感染も報告されています。
3 症状
4~14日の潜伏期で、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、咽頭痛などインフルエンザ様症状で発症します。これに続いて、めまい、傾眠、意識障害など急性脳炎を示唆する神経学的徴候を呈します。場合によっては肺炎も起こし重症化する例があります。致命率は40%~75%程度とされていますが、地域によってサーベイランス能力や医療体制は異なり、軽症例が把握されずに致命率が過大評価されている可能性があることに注意が必要です。
4 治療
特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
5 予防のポイント
予防接種はありません。
インドやバングラデシュ等のニパウイルス感染症の流行地域では、手洗い・手指消毒の励行やマスクの着用・咳エチケットの実施など、基本的な感染予防策を行うとともに、野生動物(特にコウモリ)・家畜や、感染したヒトとの不用意な接触を避けてください。また、コウモリが食べた可能性のある生の果物(ナツメヤシの樹液など)は摂取しないでください。加えて、生肉や不衛生な場所で調理された食品の摂取は避け、十分に加熱されたものを摂取してください。
6 診断・感染症法との関連
診断は、ウイルスの分離・同定や抗原の検出、ウイルス遺伝子の検出、または血清からの抗体の検出によります。
感染症法では、四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届け出ることが義務づけられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- ニパウイルス感染症(国立健康危機管理研究機構)
- About Nipah Virus(CDC)
- Nipah virus infection(WHO)
