咽頭結膜熱 PCF(Pharyngoconjunctival fever)
更新日:2023年12月26日
1 咽頭結膜熱とは
咽頭結膜熱とは、アデノウイルスによる感染症です。流行時期は夏期で、「プール熱」と呼ばれることもありましたが、タオルの共用が減った等の理由からプール利用に関連した集団感染報告は見られなくなってきています。
参考:咽頭結膜熱について(厚生労働省)
2 原因と感染経路
病原体はアデノウイルス(adenovirus)です。感染力は非常に強く、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスによって感染(飛まつ感染)、あるいは、ウイルスが付着した手やタオルなどの患者が触れたものを介して感染します(接触感染)。
3 症状
潜伏期間は5~7日程度です。発熱・咽頭炎(のどの痛み・発赤など)・結膜炎(目の充血、めやになど)を3主症状とし、その他、リンパ節の腫れ、腹痛、下痢などが生じることもあります。症状は1~2週間程度でおさまります。頻度は高くありませんが、重症化した場合は肺炎などを合併することがあります。
4 治療
特別な治療はなく、症状に応じた対症療法が行われます。のどの痛みのため食事がとりづらい場合は、のどごしの良い食べやすいものを食べましょう。また、十分な水分摂取を行いましょう。
5 予防のポイント
アルコールは効きにくいため、石けんと流水による手洗いをこまめにしましょう。プールや温泉施設を利用する際は、前後のシャワーを必ず浴び、タオルは個別に使いましょう。
6 診断・感染症法との関連
咽頭結膜熱は、咽頭ぬぐい液や便などを採取して、ウイルス分離あるいはウイルス抗原を検出することで診断しますが、流行時には症状だけで診断することもあります。
感染症法では、五類感染症(定点把握対象)として定められ、定点医療機関から毎週患者数が報告されています。