東京都健康安全研究センター
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 Penicillin-Resistant Streptococcus Pneumoniae(PRSP) infection

更新日:2016年10月20日

1 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症とは

 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症とは、ペニシリンGに耐性を示す肺炎球菌による感染症です。ペニシリンGは、最も広く治療に用いられている抗菌薬の一つです。

 

2 原因と感染経路

 病原体は、ペニシリンGに耐性を示す肺炎球菌(Penicillin-Resistant Staphylococcus Pneumoniae:PRSP)です。

 肺炎球菌は健常者の口腔に常在していることが多い菌で、中耳炎や肺炎の原因菌としてしばしばみられます。

 感染経路は、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌による感染(飛まつ感染)です。感染したとしても必ず発症するわけではありません。

 

3 症状

 一般的な肺炎球菌による感染と同じです。健常者の口腔などに定着していても、通常は無症状です。炎症部位で菌が増殖すると、咽頭炎や扁桃炎などの症状が発生します。乳幼児の化膿性髄膜炎や小児の中耳炎、肺炎、高齢者の肺炎などに至るまで様々な症状があります。

 

4 治療

 口腔や鼻腔から分離されたのみで、感染症の症状を呈さない、いわゆる「定着例」と判断される症例に対しては、除菌目的の抗菌薬投与や隔離は行いません。症状によって外科的治療が併用されますが、基本的には効果のある抗菌薬を調べ、その抗菌薬を用いて治療します。

 

5 予防のポイント

 肺炎球菌感染症の予防にはワクチンの接種が有効です。

 健康な人への感染は心配ありませんが、病院に入院している人を見舞うなどの際には、手洗いや手指消毒をしっかり行うなど、病院の注意事項にしたがいましょう。

 通常の院内感染対策の方法により、感染者または排菌者から、免疫抑制状態の高齢者などハイリスク患者への菌の伝播を防止する対策が必要です。

 

6 診断・感染症法との関連

 診断は、病原体を検出し、その薬剤耐性を確認して行います。

 感染症法では、五類感染症として定められており、基幹定点医療機関から毎月患者数が報告されています。

 

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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