更新日:2022年10月5日
1 オウム病とは
オウム病とは、細菌の一種であるオウム病クラミジアに感染することによる呼吸器疾患です。世界中で発生がみられ、国内においても年間数件の患者の報告があります。
2 原因と感染経路
病原体は、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)です。
鳥との接触歴は重要で、感染しているオウムやインコ、ドバトなど鳥の乾燥した分泌物・排泄物の吸入によって肺炎などの気道感染症をおこします。また、汚染された給餌器や飼料・水などに触った後に手を洗わずに飲食したときや口移しの給餌で感染することもあります。鳥以外にも、感染した哺乳動物から感染することもあります。国内において鳥類展示施設等での集団発生事例が複数例発生していますが、動物を飼育していない福祉施設での集団発生も報告されています。
鳥類は病原体を保有している鳥との接触、その排泄物に汚染された粉塵の吸入によって感染します。人から人への感染はほとんどありません。
3 症状
潜伏期間は1~2週間程度です。
突然の発熱で発病し、初期症状として悪寒を伴う高熱、頭痛、全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛、呼吸器症状として咳、粘液性痰など、かぜに似た症状がみられます。高齢者などでは重症になりやすく、呼吸困難、意識障害、多臓器障害、ショック症状により死亡することもあります。また、国内外でオウム病に罹患した妊婦の死亡例が報告されており、妊婦は感染源となりうる鳥類等への接触を避けるよう配慮が必要です。
4 治療
治療にはテトラサイクリン系などの抗菌薬を使用します。βラクタム系は無効です。
5 予防のポイント
鳥を飼うときは、ケージ内の羽や糞をこまめに掃除し、世話をしたあとは、その都度手洗いをしましょう。口移しでの給餌など、鳥との濃厚接触は避けましょう。飼っている鳥が弱った時などは獣医に相談してください。
また、ドバトのオウム病クラミジアの保菌率は20%と高いことから、野生のハトやハトの糞に直接触れないようにしましょう。
6 診断・感染症法との関連
病原体、または病原体の遺伝子検出、または抗体測定により診断します。
発症前に鳥との接触があったかどうかが診断の参考になります。
感染症法では、四類感染症(全数把握対象)として定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- オウム病(psittacosis)とは(国立感染症研究所)
- 動物由来感染症(厚生労働省)
- 小鳥のオウム病の検査方法等ガイドライン(厚生労働省)
- 【事務連絡】日本におけるオウム病症例発生状況と妊娠女性におけるオウム病について(情報提供)(厚生労働省)
- オウム病について(厚生労働省)