東京都健康安全研究センター
Q熱 Q fever

更新日:2017年2月15日

1 Q熱とは

 Q熱は、コクシエラ属の細菌による感染症です。「Q熱」の名称は、オーストラリアの食肉解体処理場の従業員の間で流行した原因不明の熱性疾患が「query=不明」の頭文字をとり”Q fever”として報告されたことに由来します。世界中で発生がみられ、我が国でも患者の報告があります。

 

2 原因と感染経路

 病原体は、コクシエラ科コクシエラ属のCoxiella burnetiiです。

 感染動物の尿、糞、乳汁、胎盤や羊水などに病原体が含まれているため、病原体を保有した動物に接触したり、それによって汚染されたほこりを吸いこむことにより感染します。未殺菌の乳製品・生肉の摂取による感染もあります。なお、ヒトからヒトへの感染はまれです。

※従来はリケッチアとして分類されていたこの細菌は、最新の遺伝子塩基配列情報を根拠とする分類により、現在ではリケッチアではなくレジオネラ目に属する細菌であるとされています。

 

3 症状

 潜伏期は2~3週間で、突然の高熱、悪寒、頭痛、筋肉痛や関節痛、吐き気、嘔吐、下痢、胸の痛み、胃痛、体重減少、乾いた咳がみられることがあります。多くは7~10日で回復します。

 重症化には「肺炎型」「肝炎型」「不明熱型」のパターンがあります。それぞれの症状にQ熱として特徴はありません。肺炎型では低酸素血症を起こすなど比較的症状が重く、肝炎型では肝腫大、脾腫、右上腹部痛などがみられます。不明熱型は発熱以外の症状は比較的軽いとされています。

 免疫機能が低下している人が感染すると慢性化することがあります。また、もともと心臓の弁に病気のある人などでは、心臓に感染し重い症状が生じることがあります。妊娠している女性では流産の可能性があります。

 

4 治療

 抗菌薬による治療を行います。

 

5 予防のポイント

 予防接種はありません。

 家畜やペットの出産シーズンに感染が発生することが多く、流行のある地域では、愛玩動物も含め出産時の動物への接近を控えるようにしましょう。また、殺菌していない乳製品の摂取を避けましょう。

 

6 診断・感染症法との関連

 診断は、病原体の検出、病原体の遺伝子の検出、あるいは抗体検査などによります。 

 感染症法では、四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所へ届け出ることが義務づけられています。

 

7 さらに詳しい情報が必要な方は

本ホームページに関わる著作権は東京都健康安全研究センターに帰属します ご利用にあたって
© 2023 Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All rights reserved.