更新日:2017年2月15日
1 回帰熱とは
回帰熱とは、ダニあるいはシラミによって媒介される細菌の一種であるスピロヘータによる感染症です。アフリカ、中央アジア、中南米、北米西部、地中海で発生しています。なお、国内でも北海道でマダニが媒介する回帰熱の発生が確認されていますが、国内ではシラミによる回帰熱の感染は発生していません。
2 原因と感染経路
病原体は、スピロヘータ科ボレリア(Borrelia)です。
回帰熱は、自然環境に生息するダニ、あるいはシラミに咬まれることによって媒介、伝播されます。
ヒトからヒトに直接感染することはありません。
3 症状
潜伏期間は2~21日程度です。
発熱期、無熱期を数回繰り返すのが特徴です。発熱期は、感染後5~10日を経て菌血症による頭痛、筋肉痛、関節痛、光をまぶしく感じる、咳などを伴う発熱、悪寒がみられます。この時、髄膜炎、点状出血、紫斑、結膜炎、肝臓や脾臓の腫大、黄疸がみられることもあります。発熱期が3~7日続いた後、無熱期に移行します。無熱期は、発汗、倦怠感がみられ、時に低血圧症や赤いぶつぶつとした発疹が発生することもありますが発熱はありません。無熱期が5~7日続いた後、再び発熱期に移行します。
4 治療
治療には抗生剤を使用します。
5 予防のポイント
媒介ダニ、シラミとの接触をさけることが重要です。
ダニの吸着を防ぐために、発生地域で野山、河川敷など、やむを得ず立ち入る場合、肌の露出を避け、虫よけ剤を適宜使用します。地面に寝転んだり腰をおろすことは避けましょう。また、衣類にダニがついていることがあるので、帰宅後は、早めに着替え、屋内にダニを持ち込まないように注意しましょう。
シラミが移ることを防ぐために、衣類や寝具、ヘアブラシなどの共有を避けましょう。
6 診断・感染症法との関連
病原体、または病原体の遺伝子を検出する、または抗体測定を行うことで診断します。
感染症法では、四類感染症(全数把握対象)として定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- マダニ媒介性の回帰熱に関するQ&A(厚生労働省)
- 回帰熱とは(国立感染症研究所)
- 回帰熱 Relapsing fever(厚生労働省検疫所 FORTH)