ロッキー山紅斑熱 Rocky Mountain spotted fever
更新日:2017年1月31日
1 ロッキー山紅斑熱とは
ロッキー山紅斑熱は、細菌の一種であるリケッチアによる感染症です。北米大陸で発生が見られ、我が国での患者の報告はありません。
2 原因と感染経路
病原体は、ロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsia rickettsii)です。
感染経路は、リケッチアを保有したマダニに刺されることです。
3 症状
3~12日の潜伏期の後に、激しい頭痛、全身倦怠感、高熱、嘔気・嘔吐及び食欲低下などの症状が現れます。紅色の不整形斑状の発疹(斑丘疹)が手首足首に出現し体に向かって広がり、点状出血を伴うこともあります。重篤になると、中枢神経系症状、不整脈、乏尿、ショックなどの合併症などにより死に至ることがあります。
腹痛と下痢がしばしばみられ、また、典型的な症状である発疹も20%以下で見られないことがあり、診断が困難になることがあります。
4 治療
抗菌剤による治療を行います。通常、抗菌剤が速やかに効きますが、治療が遅れると重症化する場合があるので、早期発見・早期治療が重要です。
5 予防のポイント
予防接種はありません。
マダニの吸着を防ぐことが最も重要です。発生地域で野山、河川敷など、やむを得ず立ち入る場合、肌の露出を避け、虫よけ剤を適宜使用します。地面に寝転んだり腰をおろすことは避けましょう。また、衣類にマダニがついていることがあるので、帰宅後は、早めに着替え、屋内にマダニを持ち込まないように注意しましょう。
6 診断・感染症法との関連
診断は、病原体の検出、病原体の遺伝子の検出、あるいは抗体検査などによります。
感染症法では、四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所へ届け出ることが義務づけられています。