劇症型溶血性レンサ球菌感染症 Severe invasive streptococcal disease
更新日:2024年3月28日
1 劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、レンサ球菌による感染症です。通常は、レンサ球菌に感染しても無症候のことも多く、ほとんどは咽頭炎や皮膚の感染症にとどまります。しかし、稀に通常は細菌が存在しない組織(血液、筋肉、肺など)にレンサ球菌が侵入し、急激に症状が進行する重篤な疾患となることがあります。
小児が多く罹患するA群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは区別されます。
参照: A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
2 原因と感染経路
上気道感染や創傷感染等がありますが、感染経路が不明な場合も多くあります。
3 症状
初期症状としては、発熱や悪寒などの風邪様の症状、四肢の疼痛や腫脹、創部の発赤などが見られます。発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、筋肉周辺組織の壊死を起こしたり、血圧低下や多臓器不全からショック状態に陥り、発病後数十時間で死に至ることも少なくありません。
4 治療
集中管理のもと、抗菌剤による治療が行われます。筋膜炎の場合は、壊死を起こしている部分を切除し感染の拡大を防ぎます。重症化のリスクを下げるためには、早期に治療を開始することが重要です。
5 予防のポイント
傷を清潔に保ち、創部の発赤や腫脹、痛み、発熱など、感染の兆候が見られた場合には、直ちに医療機関を受診して下さい。
6 診断・感染症法との関連
診断は、上記の症状と、細菌検査による感染部位からのレンサ球菌の検出です。感染症法では、5類感染症に定められており、診断した医師は7日以内に最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- 劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは(国立感染症研究所)
- 「重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析,その診断・治療に関する研究」
(北里大学北里生命科学研究所 病原微生物分子疫学研究室) - 2010年に分類されたA群溶血性レンサ球菌の9薬剤に対する最小発育阻止濃度(MIC)分布
- 都内で分離されたA群溶血性レンサ球菌の薬剤感受性および血清型別について(2004〜2008年)
(東京都微生物検査情報 2010年 第31巻、2号) - About Group A Strep Infection(CDC)