東京都健康安全研究センター
結核 Tuberculosis

更新日:2024年3月12日

1 結核とは

 結核とは、結核菌による感染症です。

 現在でも、全国で約1万人、東京都でも約1千500人が毎年新たに報告されています。結核は誰でもかかる可能性があり、治療により治る病気です。

 

2 原因と感染経路

 病原体は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)です。

 結核を発病して排菌している人が咳やくしゃみをした時に、結核菌を含んだ飛沫(しぶき)が周囲に飛び散り、その周りの水分が蒸発した状態(飛沫核)で空気中に漂い、それを吸い込むことによって感染します(飛沫核感染=空気感染)。

 

3 症状

 潜伏期間は、一般的に半年から2年(小児ではやや短い)です。咳・痰・微熱などの症状が現れ、時に血痰、食欲低下、体重減少などがみられるようになります。症状がはっきりと現れにくい高齢者では、食欲低下や体重減少がサインとなる場合もあります。

 その後、治療せずに症状がすすむと、肺の病変が拡大して呼吸困難に陥ることがあります。また骨や腸管、腎臓など肺以外の臓器にも病巣を作ることがあります。

 

「感染」と「発病」の違い

感染とは

 「感染」とは、吸い込んだ結核菌が肺に定着した状態をいいます。結核菌が体内にあっても、特に悪い影響を与えていない状態で、人への感染性もありません。感染した人が実際に発病するのは1割から2割程度で、感染してから6ヵ月から2年後までの発病が多いです。免疫力が低下したり体力が落ちたときに発病することもありますが、一生発病しない方もいます。

発病とは

 「発病」とは、結核菌が体内で増えて病気を引き起こした状態をいいます。発病の初期は、咳や痰の中に結核菌が出ませんが、結核の進行に伴い、咳や痰の中に結核菌が排菌され、排菌量が増えると他の人にも感染させるようになります。

 

4 治療

 治療では抗結核薬を6ヶ月以上使用します。排菌がある場合も、一般的に薬を飲み始めて約2週間で他の人への感染性はほぼなくなります。

 抗結核薬は結核菌が主に分裂する時に殺菌効果を示しますが、大腸菌など多くの菌が数10分で分裂するのに比べ、結核菌は10時間以上かけてゆっくり分裂することから、排菌の有無に関わらず、症状が消えた後も長期間の服薬が必要です

 

5 予防のポイント

 予防のポイントは、予防接種、咳エチケット、定期健診の3つです。

 

予防接種を受けましょう

 乳幼児が感染した場合の重症化予防(結核性髄膜炎、粟粒結核 等の予防)を目的に、BCGの予防接種を行います。BCGは2014年4月1日以降、生後1歳に至るまでの間に接種することと変更されました。BCGを接種することで、結核の「感染」を防ぐことはできません。

 

咳エチケットを心がけましょう

 咳やくしゃみをする時はティッシュやマスクを口と鼻にあて、他の人に直接飛沫がかからないようにしましょう

 

定期健診を受けましょう

 成人の方については、結核に限らず様々な疾患の早期発見のために胸部エックス線検査を1年に1回程度受けておくことが大切です。学校・職場健診など検査の機会がない場合はお住まいの自治体にお問い合わせください。

 

結核の患者さんに接触して不安があるとき

 ご家族やお知り合いの方が結核だったということがわかると、不安を感じられると思います。

 結核は病状によって人への感染性がないタイプもあること、また感染後すぐに発病する病気ではないため、まずはご自身のお住まいの地域の保健所にご相談ください。保健所では、患者さんの病状、接触した方の年齢や体調、接触頻度などを考慮し、検診の必要性・内容・スケジュールを検討します。

 咳や痰の症状が続く場合は、結核以外の疾患も考えられるため、胸部エックス線検査設備のある内科や呼吸器科への受診をおすすめします。

 

6 診断・感染症法との関連

 結核を発病しているかどうか診断する方法として、痰などを採取して結核菌を検出する方法(塗沫検査法、分離培養法、PCR法)と、胸部エックス線検査を行う方法があります。

 結核に感染しているかどうかを診断する方法として、IGRA検査(インターフェロン-γ測定試験/血液検査)と、ツベルクリン検査があります。

 結核は感染症法により二類感染症に分類され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。

 

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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