東京都健康安全研究センター
腸チフス、パラチフス Typhoid fever, Paratyphoid fever

更新日:2025年9月18日

1 腸チフス、パラチフスとは

 腸チフス、パラチフスは、チフス菌、パラチフス菌による感染症です。アジア(特に南アジアや東南アジア)、中南米、アフリカ等世界各地でまん延しており、流行が繰り返されています。国内では、昭和の初めから終戦後にかけて代表的な感染症の1つでしたが、衛生的な環境の整備の進展に伴い患者数は急激に減少しました。現在、国内で発生する患者の多くは海外での感染によるものですが、国内発生例もみられます。

2 原因と感染経路

 病原体は、腸チフスはチフス菌(Salmonella Typhi)、パラチフスはパラチフスA菌(Salmonella Paratyphi A)です。ヒトのみに感染し、患者や保菌者の便に汚染された食品や水を摂取することによって感染(経口感染)します。

3 症状

 潜伏期間は7-14日(報告によっては3~60日と幅がある)で、39~40℃の高熱、倦怠感、腹痛、頭痛、下痢または便秘、咳、皮疹などを呈し、まれに、腸穿孔、腸出血を起こすこともあります。腸チフスとパラチフスの症状はほとんど同じですが、パラチフスは腸チフスに比べて症状は軽い傾向があります。

4 治療

 抗菌薬が有効ですが、南アジアや東南アジアでは薬剤耐性菌も多く報告されています。

5 予防のポイント

 流行している地域では、生水、氷、生野菜、カットフルーツなどの食品を喫食しないようにしましょう。腸チフスにはワクチンがあり、2024年に日本でも承認されました。感染リスクのある地域へ渡航する場合は、渡航前の予防接種が検討されます。希望する場合は、トラベルクリニック等で接種することができます。なお、パラチフスに有効なワクチンは現時点でありません。

 6 診断・感染症法との関連

 診断は、血液や便、胆汁などの培養によるチフス菌、パラチフス菌の検出です。

 感染症法では三類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届出ることが義務付けられています。

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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