東京都健康安全研究センター
発しんチフス Epidemic typhus (Louse-borne typhus)

更新日:2026年3月3日

1 発しんチフスとは

 発疹チフスは、シラミによって媒介されるリケッチアという細菌の一種による感染症です。歴史的には戦争や難民キャンプ、寒冷な山岳地域などの着衣の交換頻度の少ない状況や衛生状態の悪い環境で大流行し、多くの死者を出してきた疾患です。日本でも戦前・戦中に流行をしていましたが、1957年以降発生はありません。近年ではブルンジ、エチオピア、ルワンダなどからの報告がみられます。

2 原因と感染経路

 病原体は、リケッチアと総称される細菌の一種であるRickettsia prowazekiiです。主な感染経路として、ヒトの皮膚や衣服に寄生したコロモジラミの糞便に含まれる菌が、ヒトにできた刺し口や引っ掻き傷などに刷り込まれることによって感染します。感染しているヒトをシラミが吸血することによりシラミに次に感染をし、病原体が大量に含まれる糞便が排出され、再度ヒトに取り込まれることにより感染が循環します。

 ヒトが非常に密接した状況では汚染されたシラミの糞便を塵埃として吸入することによる経気道感染も起こりえます。

 アメリカではムササビからヒトに感染したと想定される症例が報告されており、sylvatic typhusと呼ばれ、シラミの関与が考えられています。

3 症状

 潜伏期間は6~15日程度です。突然の発熱が出現し、多くは頭痛や寒気、息切れ、悪心・嘔吐などを伴います。発症2~5日後に体幹部から皮疹が出現し、四肢に広がっていきます。重症例では意識障害や精神症状を認めることがあります。未治療の際の致死率は抗菌薬未使用の頃には最大60%程度に達したと報告されていますが、現在は適切な抗菌薬の使用により数%程度とされています。

 非常にまれですが、初感染から数年単位ののちに再発することがあり、Brill-Zinsser diseaseと呼ばれます。この場合の症状は初回より軽症であることが多いです。

4 治療

 抗菌剤による治療を行います。

5 予防のポイント

 国内で承認されたワクチンはありません。

 コロモジラミは過密で人が定期的に入浴や着替えができない地域で繁殖します。定期的に入浴をし、衣服を清潔に保つことが勧められます。

6 診断・感染症法との関連

 血液からの菌の病原体分離、遺伝子検出、血清学的検査による。

 感染症法では、四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届け出ることが義務づけられています。

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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