東京都健康安全研究センター
ジカウイルス感染症 Zika Virus Infection

更新日:2017年4月5日

中南米、米国(フロリダ州の一部及びテキサス州の一部)、東南アジア等の地域でジカウイルス感染症(ジカ熱)が流行しています
特に妊婦及び妊娠予定の方は可能な限り流行地への渡航を控えてください

1 ジカウイルス感染症とは

 ジカウイルス感染症は、ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症をいいます。

 ジカウイルス病は、米国の一部や中南米、カリブ海領域で流行が持続し、アジアや南太平洋地域への感染が広まっています。

 日本でもジカウイルス病の症例が確認されており、いずれも流行地域への渡航歴がある輸入症例でした。

2 原因と感染経路

 病原体は、ジカウイルス(Zika virus)です。

 ジカウイルス病は、ジカウイルスに感染することにより起こる感染症で、主にジカウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)に刺されることによって生じる感染症です。その他の感染経路として、輸血、性行為により感染することがあります。

 先天性ジカウイルス感染症は、母体から胎児への感染によって起こります。

3 症状

 ジカウイルス病の潜伏期は2~12日(多くは2~7日)とされています。症状は軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、結膜炎、疲労感、倦怠感などです。血小板減少などが認められることもありますが、一般的に他の蚊媒介感染症であるデング熱、チクングニア熱より軽症といわれています。また、症状の出ない感染が感染者の約8割を占めるとされています。

 ジカウイルス感染はギラン・バレー症候群の原因となります。また、先天性ジカウイルス感染症により、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があります。

※ギラン・バレー症候群とは

 ギラン・バレー症候群は急性の末しょう神経障害で、運動麻痺を起こし、両手両足に力が入らなくなり動かせなくなります。症状は遅くとも1か月以内にピークに達し、その後徐々に回復、6~12か月で多くの患者はほぼ完全に回復します。

4 治療

 特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。

5 予防のポイント

 有効なワクチンはなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。

妊婦及び妊娠予定の方へ

 妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症との関連があるとされているため、世界保健機関(WHO)は、2016年3月8日、妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。我が国においても、外務省から感染症危険情報が出されており、特に妊娠中の方又は妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在を可能な限り控えることとされています。やむを得ず渡航する場合は、厳密な防蚊対策を講じることが必要です。

渡航中

 流行地域では、長袖、長ズボンを着用して、蚊の忌避剤を使用し、蚊に刺されないように注意しましょう。また、症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えることを推奨されています。

帰国後

 性行為感染の予防については、流行地域から帰国した人は症状の有無にかかわらず、少なくとも6か月間、妊娠中のパートナーがいる場合は妊娠期間中、性行為を行う場合にコンドームを使用するか性行為を控えることが推奨されています。また、母体から胎児への感染リスクを考慮し、流行地域から帰国後の妊娠を予定しているカップルや女性は、帰国後6か月間、妊娠を控えることが推奨されています。

 輸血による感染伝播を予防するため、同様に献血を自粛してください。

 症状の出ない感染者から感染伝播するかについてはわかっていないため、国内の蚊の活動期(概ね5月中旬~10月下旬頃)に流行地から帰国した場合は、症状の有無にかかわらず、蚊にさされないための対策を少なくとも2週間程度行うことが推奨されています。

ジカウイルスを媒介する蚊

ジカウイルス感染症の感染リスクのある地域

 感染リスクのある地域は、アメリカ合衆国(テキサス州の一部、フロリダ州の一部)、中央・南アメリカ、カリブ海地域、アフリカ、アジア太平洋地域で、特に、近年は中南米等で流行しています。

 日本との人の行き来の多い東南アジア地域でも流行しています。流行地域への渡航者や、流行地域からの帰国者はご注意ください。

 ジカウイルス感染症の感染リスクのある地域は他の感染症なども流行していますので、出発前には渡航先にどのような健康リスクがあるか確認しましょう。

6 診断・感染症法との関連

 診断は、病原体の検出あるいは抗体検査などによります。

 感染症法では、四類感染症として定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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