インフルエンザニュース No.5 |
平成11年2月26日 |
この情報は医療機関等向けに提供しています。
1 インフルエンザの流行状況について
都の感染症発生動向調査によると、インフルエンザ様疾患の患者数は、1月第3週(平成11
年1月17日〜1月23日)にピーク(3639件)を迎え、報告件数はゆっくり下がってきたものの、第6週に再び上昇に転じました(別紙1参照)。これは、成人では1月第2週にピークがあったのですが、小児では2月になってようやく発生が増えてきたためと考えられます。また、2月になってインフルエンザB型が原因となっているものが増えています。なお、第7週は再び減少しています。
また、インフルエンザ様疾患により、11月からの累計で、2月19日現在、1263の学校で6734学級が学級閉鎖になりました。なお、昨年同期は1270の学校で7326学級が学級閉鎖しました。
2 予防方法について
1) 手洗いとうがいの励行
2) 室内の適度な加湿と換気
3) 規則正しい生活と休養
4) バランスのとれた食事と適切な水分の補給
5) 必要な時以外は人混みへの外出を控える
6) ワクチン接種についてはかかりつけ医と相談して下さい
3 早期の受診を
インフルエンザは、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方に感染すると重症化しやすいので、症状がでれば早めに診察を受ける等の注意が必要です。特に、高齢者のインフルエンザ様疾患による死亡例が報告されていますので、十分な注意が必要です。
4 ザナミヴィル(zanamivir)について
開発中のインフルエンザ新薬について、「来冬には国内販売も」と報道されています(日本経済新聞2月20日)。この新薬は、ノイラミニデース阻害剤で、霧状にして口から吸入するタイプと経口剤があり、発症後36時間以内に使用すれば、ハイリスク患者でインフルエンザの有症状期間を平均
2.5日短縮すると報告されています(Lancet 352:1877-81, 1998)。インフルエンザAにしか有効でないアマンタジンと違って、インフルエンザBにも有効です。
また、耐性の獲得も少なく、4,000 例の治験でも耐性の発生はなかったとされています。(Lancet 353:668-669,
1999 )厚生省は昨年、A型インフルエンザウイルス感染症の治療薬として「塩酸アマンタジン」(商品名:シンメトレル、日本チバガイギー)を承認しました。また、鼻腔洗浄液、鼻腔吸引液、鼻腔ぬぐい液及び咽頭ぬぐい液から10分ほどでインフルエンザA型ウイルスを検出する検査キット(商品名:
ディレクティジェンFluA、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)も承認されています。
6 インフルエンザウイルスの分離状況について
インフルエンザに罹患したと思われる生徒に対して行った疾患調査では、現在までのところ都内の13カ所から「A/香港型」が、16カ所から「B型」、1カ所からは「Aソ連型」が検出されています。
なお、都立衛生研究所の感染症発生動向調査(病原体検査)によると、調査した330 検体のうち、「A/香港型」が 170件、「A/ソ連型」が
5件、「B型」が19件確認されました(別紙2参照)。
また、同研究所多摩支所の行った多摩地区における感染症発生動向調査(病原体検査)では、調査した 886検体のうち、「A/香港型」が
240件、「B型」が 116件確認されています。
インフルエンザ様疾患年齢別報告件数(感染症発生動向調査)
前シーズン感染症発生動向
AH3 | 年 齢 | |||||||||
検体搬入日 | 0〜4 | 5〜9 | 10〜14 | 15〜19 | 20〜29 | 30〜 | 40〜 | 50〜 | 60〜 | 70〜 |
〜10/12/5 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | |||||
10/12/6〜 | 2 | 2 | 1 | |||||||
10/12/13〜 | 2 | 1 | 2 | 1 | 1 | |||||
10/12/20〜 | 1 | 3 | 1 | 1 | 3 | 4 | 8 | 3 | ||
10/12/27〜 | 7 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | ||||
11/1/3〜 | 10 | 4 | 3 | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 | ||
11/1/10〜 | 10 | 3 | 1 | 3 | 4 | 3 | 2 | 2 | ||
11/1/17〜 | 15 | 3 | 2 | 4 | 2 | 2 | 5 | 2 | 2 | |
11/1/24〜 | 2 | 1 | 5 | 2 | 1 | 1 | 1 | |||
11/1/31〜 | 4 | 1 | 1 | 1 | 2 | |||||
合計 | 54 | 16 | 8 | 7 | 23 | 9 | 9 | 18 | 17 | 9 |
感染症発生動向調査(病原体検査)によるインフルエンザウイルス検出状況
(都立衛生研究所調べ)
型別・年齢別 検体搬入日 |
AH3 | AH1 | B |
計 |
|||||||||||||||||||||||||||
0 〜 4 |
5 〜 9 |
10 〜 14 |
15 〜 19 |
20 〜 29 |
30 〜 39 |
40 〜 49 |
50 〜 59 |
60 〜 69 |
70 〜 |
0 〜 4 |
5 〜 9 |
10 〜 14 |
15 〜 19 |
20 〜 29 |
30 〜 39 |
40 〜 49 |
50 〜 59 |
60 〜 69 |
70 〜 |
0 〜 4 |
5 〜 9 |
10 〜 14 |
15 〜 19 |
20 〜 29 |
30 〜 39 |
40 〜 49 |
50 〜 59 |
60 〜 69 |
70 〜 |
||
〜平成10年12月5日 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 |
|
||||||||||||||||||||||
平成10年12月6日〜 平成10年12月12日 |
2 | 2 | 1 | 1 |
|
||||||||||||||||||||||||||
平成10年12月13日〜 平成10年12月19日 |
2 | 1 | 2 | 1 | 1 |
|
|||||||||||||||||||||||||
平成10年12月20日〜 平成10年12月26日 |
1 | 3 | 1 | 1 | 3 | 4 | 8 | 3 |
|
||||||||||||||||||||||
平成10年12月27日〜 平成11年1月2日 |
7 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 |
|
|||||||||||||||||||||||
平成11年1月3日〜 平成11年1月9日 |
10 | 4 | 3 | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 |
|
||||||||||||||||||||||
平成11年1月10日〜 平成11年1月16日 |
10 | 3 | 1 | 3 | 4 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 |
|
||||||||||||||||||||
平成11年1月17日〜 平成11年1月23日 |
15 | 3 | 2 | 4 | 2 | 2 | 5 | 2 | 2 | 1 | 2 | 1 | 1 |
|
|||||||||||||||||
平成11年1月24日〜 平成11年1月30日 |
2 | 1 | 5 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 |
|
|||||||||||||||||||||
平成11年1月31日〜 平成11年2月6日 |
4 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 |
|
|||||||||||||||||||||
計 | 54 | 16 | 8 | 7 | 23 | 9 | 9 | 18 | 17 | 9 | 3 | 1 | 1 |
|
|
|
|
|
|
衛生局医療福祉部結核感染症課
TEL 03-5320-4482