インフルエンザワクチン接種の変遷
日本では1957 年のアジア風邪ウイルスによるインフルエンザの流行を契機に、本格的なワクチンの接種体制が整備されました。
1962 年からは集団生活に起因する流行を抑止し、1人1人の感染を防ぐことでインフルエンザを制圧するために、小、中、高校生を対象にしたワクチンの集団接種が開始されました。
しかし、その後も毎年のようにインフルエンザは規模の大小はあるものの流行を繰り返し、まれにワクチンの副反応よると思われる症例が報告されたことから、マスコミを中心に次第にその必要性に疑問の声があげられるようになりました。
1972 年からはエーテル処理によって副反応を低く抑えたワクチンが製造されるようになりましたが、1994 年の予防接種法の改正とともにインフルエンザは予防接種対象疾患から除外されました。
しかし、本年11 月7 日から施行された改正予防接種法では、高齢者等のインフルエンザ予防接種が定期予防接種の対象として追加されることとなりました。
これまでは接種希望者に対する任意接種としてのみ行われていましたが、欧米諸国に比べると接種率は極端に低く、1%前後にとどまっていました。欧米ではインフルエンザによって重篤な症状を引き起こす可能性の高い65
歳以上の高齢者を対象に、積極的にワクチン接種が行われており、たとえば、アメリカでは65 歳以上の高齢者の約65%が接種を受けています。定期接種が導入されたことで日本でも接種率増加が期待されます。