更新日:2010年12月10日
1 調査の概要
感染症流行予測調査の概要については こちら をご覧ください。
【調査対象】:346名
【調査時期】:2010年7月〜10月
【内容】:協力が得られた方の採血を行い抗体等を測定、その他ワクチン接種状況などを伺っています。
2 抗体保有状況*
(*n=336 年齢不明の10名を除く)
今回調査したインフルエンザ抗体は、A/新型の2009/10年ワクチン株(A/California/07/2009)、A/香港型の2009/10年ワクチン株(A/Victoria/210/2009)、B型の2009/10年ワクチン株:ビクトリア系統(B/Brisbane/60/2008)、B型の2008/09年ワクチン株:山形系統(B/Florida/4/2006)、これら4種類の抗原に対するHI抗体価です。HI抗体価が40倍以上ある場合、重症化が予防できるとされており、感染防御抗体を保有していると考えられます。季節性インフルエンザウイルス(A/香港型、B型:ビクトリア系統・山形系統)に対する感染防御抗体保有率は、概ね40%程度(39.0〜39.6)と中等度の保有状況でした。それに比較して新型インフルエンザウイルスに対する感染防御抗体保有率は、48.5%と比較的高いものでした。
年齢階級別の感染防御抗体保有状況は、A/新型とA/香港型は比較的低年齢層において保有率が高いのに対し、B型はビクトリア系統、山形系統ともに中・高齢者層の保有率が高い傾向が見られました。新型の感染防御抗体保有状況について昨年と比較してみると、概ね全ての年齢層において保有率が上昇していますが、特に15歳未満において保有率の上昇が顕著でした。ワクチン接種歴もふまえて今回の抗体保有率の上昇を考えると、昨シーズンは新型が低年齢層を中心に流行したことがうかがえます【図1・2・3】。
【図1】HI抗体価40倍以上の保有率(%) | 【図2】A/California/07/2009に対するHI抗体価40倍以上の保有率(%) |
【図3】抗原別抗体保有率(%) |
3 ワクチン接種状況*
(*n=336 年齢不明の10名を除く)
調査対象者のワクチン接種率は、季節性インフルエンザワクチンが58.5%、新型インフルエンザワクチンが32.2%でした。また、季節性インフルエンザワクチン、新型インフルエンザワクチンの両方を接種していた方の割合は26.8%(再掲)でした。年齢階級別のワクチン接種率をみると、季節性インフルエンザワクチンは全ての年齢において40%以上の接種率でした。新型インフルエンザワクチンでは、10歳未満の接種率が約50%と最も高く、次いで40歳代が約40%の接種率で、他の年齢では30%以下の接種率でした【図4・5】。
【図4】季節性インフルエンザワクチン接種率(%) | 【図5】新型インフルエンザワクチン接種率(%) |