1 AH3亜型ウイルスのHA遺伝子系統樹
AH3亜型の流行株はすべて、A/Victoria/208/2009株を代表とし、2012-2013年シーズンワクチン株(A/Victoria/361/2011)が含まれる枝に存在するワクチン近縁株でした。
ワクチン株との解析領域でのアミノ酸変異は、最大1個であったことから、アミノ酸相同性は99.0~100%で、ワクチン株とほぼ合致していました。AH3亜型の流行株について、世界の流行株でも同様な傾向が見られたことから、2013/2014年シーズンのワクチン推奨株として引き続きA/Victoria/361/2011類似株(A/Texas/50/2012)が選定されています。
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2 AH1pdm09ウイルスのHA遺伝子系統樹
AH1pdm09亜型の流行株はワクチン株(A/California/7/2009)から伸びた枝に含まれており、解析領域におけるワクチン株とのアミノ酸変異は3~5個、相同性は97.2~98.3%でした。
2009年にパンデミックウイルスとなった本亜型は、2011年までに微小な変異による系統樹上での広がりを見せていましたが、2012-2013年シーズン流行株は2011年流行株の枝から離れず、変異の幅も他の亜型ウイルスに比べて小さいものであることから抗原性の変異も少ないと考えられます。
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3 B型ウイルスのHA遺伝子系統樹
B型流行株は2011-2012年シーズンと同様にVictoria系統株とYamagata系統株が混在して流行する形態となりました。
B型2系統の流行株のうち、Victoria系統の流行株は2010-2012年シーズンのワクチン株であったB/Brisbane/60/2008株と同様な枝に含まれていました。また、Yamagata系統の流行株もワクチン株であるB/Wisconsin/01/2010株が含まれる枝に属する株であり、いずれの系統株もワクチン株に近縁な株でした。
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