更新日:2026年5月1日
1 エムポックスとは
「エムポックスウイルス」によって感染する病気です。エムポックスウイルスには大きく分けてクレードIとクレードIIの2つの系統があり、さらにサブクレード(例:Ia/Ib、IIa/IIb)に区分されます。以前はクレードⅠはクレードⅡと比較して致命率が高いという報告があったものの、現時点ではいずれのクレードでも致命率は過去の報告より低く、適切な治療によりさらに低下すると報告されています。
2022年5月以降、欧州、アメリカ地域を中心とした世界的な流行となっていたのは比較的症状の軽いクレードIIbでした。2023年以降コンゴ民主共和国でクレードIbによるエムポックス患者が増加しており、2024年に入ってからはコンゴ民主共和国およびその周辺国においてもエムポックス患者が急増していることから、同年8月14日にWHOより「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(Public Health Emergency of International Concern (PHEIC))が宣言(2025年9月に解除)されました。クレードIaは以前よりコンゴ民主共和国を中心として流行していた株ですが、クレードIbは新たに出現した株でその大部分は性的接触により拡大したと推定されています。
なお都内では2022年に初めてクレードIIb患者が報告され(5件)、2023年168件、2024年14件、2025年17件、2026年3月末の段階で31件の報告がありました。
また2026年4月にはクレードIbの患者も確認されています。
2 原因と感染経路
主に、感染した人や動物の皮膚の病変、体液、血液に触れた場合(性的接触を含む)や、患者と近くで対面し、長時間の飛沫(ひまつ)にさらされた場合、患者が使用した寝具等に触れた場合などに感染します。
2022年から2023年の欧州、アメリカ地域を中心としたクレードIIb流行時は患者の多くは成人男性であり、そのほとんどが男性間で性交渉を行う人(MSM; Men who have sex with men)でしたが、2023年以降のクレードIb流行時は流行女性や子供の感染者も報告されています。なお、国内および都内における感染経路として最も多いのは接触感染(性的接触含む)とされています。
3 症状
潜伏期間通常7-14日(5-21日)の後に症状が出現します。症状は、発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、筋肉痛などが1~5日続き、その後、発疹が出現します。発疹は水ぶくれ(水疱)状になり、最後にはかさぶた(痂皮)になってはがれ落ちます。発疹は体だけではなく、口の中や、陰部、目(角膜、結膜)にもできることがあります。
多くは2-4週間で自然回復しますが、特に、免疫抑制状態にある患者などでは重症化することもあります。
また2022年から2023年のクレードIIb流行時には、発熱やリンパ節の脹れなどの初期症状がなく、急に発疹が出現する事例も報告されています。
水痘(みずぼうそう)などの他の発疹・水疱を生じる病気との区別が難しいことがあります。
発疹の時間経過

4 治療
特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
国内では抗ウイルス薬としてテコビリマトが国内で承認されており、特定の病院において重症例又は重症化の可能性がある場合で投与が検討されます。
5 予防のポイント
エムポックスは2~4週間で自然に治りますが、痂皮がはがれ落ちてなくなるまで(21日程度)は感染力があるとされています。エムポックスと診断された場合や感染が疑われる場合は、サージカルマスクを着用し、水疱を含む皮膚病変はガーゼで覆うなど周りのひとにうつさないよう対策をしましょう。また、同居者がいる場合にはリネン類の共有は避け、パートナーや不特定多数との性交渉を含む濃厚接触を避けるようにしましょう。
天然痘ワクチンが、ウイルスにさらされた後の発症の予防や重症化予防に有効とされています。
6 感染症法との関係
診断は、病原体の検出によります。
感染症法では、四類感染症として定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。
7 さらに詳しい情報が必要な方は
- エムポックス(サル痘)の世界的流行について(ウイルス研究科)
- エムポックス 啓発資料(国立国際医療センター 感染症対策支援サービス)
- エムポックスについて - 東京都のエムポックスに対する検査・入院体制(保健医療局)
- エムポックスについて(厚生労働省)
- エムポックス患者とエムポックス疑い例への感染予防策(国立健康危機管理研究機構)
- エムポックス(厚生労働省検疫所 FORTH)
- Mpox(WHO)
- Monkeypox(CDC)
