東京都健康安全研究センター
エムポックス(旧名称:サル痘) Mpox (monkeypox)

更新日:2023年7月20日

  都民向け情報リーフレット(エムポックス(サル痘)ってどんな病気??)

1 エムポックスとは

 「エムポックスウイルス」によって感染する病気です。これまでアフリカを中心とした一部の地域でみられる病気でしたが、2022年5月以降、欧州、アメリカ地域を中心とした世界的な流行となり、2023年5月現在111の国・地域で87,000人以上の感染が確認されています。発熱、リンパ節の腫れ、発疹が主な症状で、多くは2~4週間で自然回復します。

2 原因と感染経路

 主に、感染した人や動物の皮膚の病変、体液、血液に触れた場合(性的接触を含む)や、患者と近くで対面し、長時間の飛沫(ひまつ)にさらされた場合、患者が使用した寝具等に触れた場合などに感染します。

 2022年5月以降の流行では患者の多くは成人男性であり、そのほとんどが男性間で性交渉を行う人(MSM; Men who have sex with men)です。女性や子供の感染者も、多くはありませんが、報告されています。

3 症状

 潜伏期間1~21日(多くは1週間以内)の後に症状が出現します(WHO, 2023)。症状は、発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、筋肉痛などが1~5日続き、その後、発疹が出現します。発疹は水ぶくれ(水疱)状になり、最後にはかさぶた(痂皮)になってはがれ落ちます。発疹は体だけではなく、口の中や、陰部、目(角膜、結膜)にもできることがあります。

 多くは2~4週間で自然回復しますが、特に、免疫抑制状態にある患者などでは重症化することもあります。

 2022年以降の流行では、発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状がなく、急に発疹が出現する事例も報告されています。

 水痘(みずぼうそう)などの他の発疹・水疱を生じる病気との区別が難しいことがあります。

発疹の時間経過

発疹の時間経過 イメージ

4 治療

 特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。

 国内では利用可能な薬事承認された治療薬はありません。

 海外では特異的治療薬としてテコビリマットが承認されており、国内でも臨床研究が実施されています。

5 予防のポイント

 多くの場合は2~4週間で自然に治りますが、痂皮がはがれ落ちてなくなるまで感染力があるとされています。エムポックスと診断された場合や感染が疑われる場合は、サージカルマスクを着用し、水疱を含む皮膚病変はガーゼで覆うなど周りのひとにうつさないよう対策をしましょう。また、海外のデータでは、性的接触が現在の流行の主要な感染経路です。不特定多数との性交渉や、原因不明の発疹がある場合の性交渉は避けるようにしてください。

 天然痘ワクチンが、ウイルスにさらされた後の発症の予防や重症化予防に有効とされています。

6 感染症法との関係

 診断は、病源体の検出によります。

 感染症法では、四類感染症として定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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