東京都健康安全研究センター
平成30年の全国及び東京都における食中毒発生状況

 平成30年に全国及び東京都内で発生した食中毒事件の概要と特徴について、厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課並びに東京都福祉保健局健康安全部の資料に基づいて紹介する。

1.全国における食中毒発生状況

 食中毒事件総数は1,330件、患者数は17,282名(死亡者3名)であり(表)、事件数は前年比1.31、患者数は前年比1.05で増加した。そのうち病因物質不明は24件(1.8%)、患者数617名(3.6%)であった。

 事件数を病因物質別にみると、細菌性食中毒は467件(35.1%)、前年比1.04でほぼ横ばいであった。病因菌別の第一位は、平成15年以降連続してカンピロバクター319件(24.0%)であり、以下、ウエルシュ菌32件(2.4%)、腸管出血性大腸菌32件(2.4%)、黄色ブドウ球菌26件(2.0%)、腸炎ビブリオ22件(1.7%)、その他の病原大腸菌8件(0.6%)、セレウス菌8件(0.6%)、赤痢菌1件(0.1%)、エルシニア・エンテロコリチカ1件(0.1%)の順であった。

 細菌性食中毒の患者数は6,633名(38.4%)、前年比1.00で横ばいであり、患者数の多い原因菌は、ウエルシュ菌2,319名(13.4%)、カンピロバクター1,995名(11.5%)、サルモネラ640名(3.7%)、腸管出血性大腸菌456名(2.6%)であった。

 腸管出血性大腸菌感染例は、5月に東京、埼玉、茨城、福島の4都県で、同一由来の腸管出血性大腸菌O157(VT1,2産生)が原因と考えられる散発例が発生し、患者20名が報告された。このうち埼玉の発生例では、残品のサンチュから本菌が検出され、食中毒と断定された。また、8月には同系列のハンバーガー店21店舗を利用した患者30名が複数自治体で認められ、うち長野県2店舗の事例が腸管出血性大腸菌O121(VT2産生)による食中毒と断定された。

   1事件あたり患者数500名以上の大規模食中毒は1件で、京都の刑務所で発生したウエルシュ菌による食中毒で、患者数621名であった。受刑者が交代で調理した給食が原因と思われたが、原因食品は不明であった。また、近年報告例の少なかった腸炎ビブリオ食中毒が22件発生したが、このうち20件は東京都を中心とした同系列寿司店21店舗で提供された生うにを主な原因食品とする事例で、患者数は197名であった。赤痢菌による食中毒は、平成24年以降国内発生がなかったが、昨年10月に山梨県の宿坊施設や旅館で提供された食事などを原因として、岡山県や東京都などで99名の患者が報告された。

   一方、ノロウイルスによる食中毒は、事件数256件(19.2%)、患者数8,475名(49.0%)であり、患者数が最も多かった。前年比は事件数1.20、患者数1.0と、ほぼ横ばいであり、一事件あたり患者数500名以上の大規模食中毒は1件で、患者数550名、原因食品は不明であった。

   平成25年より食中毒病因物質の種別に追加されたアニサキスによる食中毒は、468件(35.2%)で食中毒全体の第一位(前年比2.03)となり、原因食品としてカツオが最多であり、クドアによる食中毒は14件(1.1%)であった。

   化学物質による食中毒は23件(1.7%)、植物性自然毒は36件(2.7%)、動物性自然毒は25件(1.9%)であった。食中毒による死亡者は3名で、その原因は植物性自然毒であり、原因食品はイヌサフランと、毒キノコのニセクロハツによるものであった。

  

2.東京都における食中毒発生状況

   都内の食中毒事例は、事件数185件(患者数1,917名)で、死亡例は報告されなかった(表)。平成29年の事件数132件(患者数2,628名)と比べ、前年比1.40で事件数は増加したが、患者数は前年比0.73で減少した。食中毒185件中、細菌によるものは67件(36.2%)で、内訳はカンピロバクターによる食中毒が41件(22.2%)で、以下、腸炎ビブリオ13件(7.0%)、腸管出血性大腸菌6件(3.2%)、ウエルシュ菌4件(2.2%)、サルモネラ2件(1.1%)、黄色ブドウ球菌1件(0.5%)であった。

    細菌性食中毒の患者数は751名(39.2%)で、前年比0.91で減少した。患者数は、腸管出血性大腸菌270名(14.1%)、カンピロバクター235名(12.3%)、腸炎ビブリオ120名(6.3%)、ウエルシュ菌108名(5.6%)、サルモネラ11名(0.6%)、黄色ブドウ球菌7名(0.4%)であった。

   患者100名以上の大規模事件は、ホテルで提供された食事による腸管出血性大腸菌O157(VT1,2産生)を原因とする食中毒1事例のみであった。また、腸炎ビブリオは13件で、例年に比べて増加したが、前述の通りすべて同系列寿司店による事例であった。

   ノロウイルスによる食中毒は事件数28件(15.1%)で、前年と大きな違いが認められなかったが、患者数では920名(48.0%)と前年比0.57で減少した。患者数100名以上の大規模食中毒は3件で、原因食品は餅つき大会でついた餅と、仕出し弁当であった。

   アニサキスによる食中毒は78件(42.2%)発生し、事件数では全国と同様最多で、カツオを原因食品とする食中毒事例が多いことが特徴であった。また、病因物質不明の食中毒は3件、患者数49名であり、飲食店で提供された弁当や寿司などが原因であった。  

 

(食品微生物研究科 前田雅子)

 

表. 平成30年の食中毒発生状況(全国、東京都)

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